玉いろの汗も滲みし残暑かな
言葉をつなぎ合わせただけの俳句。体裁だけを取り繕った俳句。面白みがない。というのが作者としての感想。
この句について、思う所があれば、コメントして頂けると幸いです。
さてこれは、私にとって初めて詠んだ俳句である。
正確には数十年ぶりの俳句と言った方がいいかもしれない。
確か、中学に一度授業で俳句を詠まされたことがある。当たり前のことだが、上五も下五も季節がいつだったのかも覚えていない。悲しいことに恩師の名前すら定かではない。脳裏に焼き付いているのは、テトラパックの牛乳とミルメークの旨さだけである。
時間をこの句を詠んだ時分に戻そう。
或る年の九月上旬。当時私は人生のどん底のような精神状態だった。家族だけがこの世と私をつなぎ止めていた。そう言っても過言ではない。
なんとか社会に戻るため、私は病院主催の復職支援プログラムに参加していた。いわゆるリワークプログラムというやつだ。その中のプログラムの一つに俳句を詠む会があった。同じくプログラムに参加していた仲間からの誘いを受け、参加した。
二時間構成となっており、前半はテキストベースでの勉強会だった。そして後半、「残暑」を席題とした句会が開かれた。提出までは二十分。
煙草を燻らせ、顔をしかめて捻りだしたのがこの句だ。とにかく五七五にしようと無理矢理はめ込んだので、情景も何もあったものではない。この時、頭に浮かんだのは、首筋にうっすらと浮かぶ玉のような汗だけだった。
句会も無事終わり、駅までの帰り道にてふと気付く。心が僅かながらも軽くなっていることに。 俳句を作るのに集中したことで、私の中の鬱々とした気持ちが昇華されたのか。と、一つの疑問が浮かんだ。
じわりじわりと、私の中から何かが滲みだした。
或る男